少女☆歌劇レヴュースタァライト第四話「約束タワー」
スタァライト。結ばれる絆、引き裂かれる運命、それでも2人で星を摘みに行く。
華恋とひかりが和解して、それで帰ったら、待っててくれた仲間たちのことが見えるようになった。
クラゲは、どうすればいいかわからないふわふわした心理の投影にも見える。
ふわふわと水族館を転々するひかりを追う華恋。転校してから、なかなか直接は話せなかったけど、電話で距離を縮めて、約束のタワーで邂逅する。公園の滑り台の上でタワーを見る。
2人が目指すものを確かめ合って、滑り台からタワーを見る。あえてスカイツリーを登場させておいて、目指すものはスカイツリーではなく東京タワーで。それぞれの決意を確かめ合って、高め合って。1話を経てなおまだ自分では起きられていなかった華恋のリベイク・フルシティ。
モノローグ合戦のトリックを逆に利用して長電話を際立たせ、過ごした時間のズレを少しずつ埋めてゆく。
ひかりちゃんのコミュ障ツンぶりが異常。青地にシロクマ。
観光地を歩くひかり、なんでもない路地を走る華恋。最後の方1箇所だけ、ひかりが歩道橋の上を通って、華恋が石造りの公園みたいなとこを通ってて、観光地と路地の中間くらいに。
最後に並べられるクマとクラゲのぬいぐるみは、ひかりと華恋かもしれないし、ひかりの構成要素の1つかもしれないし。1人でクラゲを見て「どうして負けたの?」と聞く決心がついて、それからは電話しながら観光してるし、でも最後に東京タワーのクラゲはとってあるし(結局見られなかったけど)。クラゲはひかりの迷いであり、ふわふわした華恋であり、ひかりにとっての2人の夢なのかも。「2人でスタァになる」というのは、具体的ビジョンは曖昧だが確かに存在する、ぷよぷよだけどコリコリしたクラゲのイメージなのかも。この要素は華恋的でもある。ひかりと華恋が横並びになったとみた方がスッキリ簡潔ではある。
一方、天堂×西條、石動×花柳もレヴューを通じて新しい面が見えてきて。
西條さんを気遣う天堂さんの聖人ぶり。レヴューの話になるとはぐらかしてしまう石動さん。遠くて近くて、近くて遠くて。まひるちゃんは一貫して遠いので悲しい。
なんだかんだ去年も学園祭やってるだけあって、みんな仲良いというか仲間思いなんだよね。ひかり来訪とレヴュー開始で色々動き出した感じでしょうか。
今回はレヴューなし。魂のぶつかり合いによって再生産され、再生産された魂がぶつかり合う。そういう意味では華恋×ひかりは再生産され、九九組というコミュニティに入っていく。
2人の約束を果たすべく戦いが始まる。のかな
前に自転車で東京観光した時に東京タワーの周辺とか巡ってたから見覚えのある風景も多くて楽しかった。架空の聖翔学園が舞台でありながら、東京タワーをはじめ聖地化される都内各地。虚構と現実を溶かす「聖地化」は最近の関心でもある。
サンシャイン水族館(池袋駅)、しながわ水族館(大森海岸駅)、すみだ水族館(押上駅)、東京タワー水族館。あと浅草と上野と月島と新宿御苑と。池袋と浅草と東京タワーは行ったことある。
少女☆歌劇レヴュースタァライト第三話「スタァライト」
スタァライト、それは星に導かれる女神の物語。
ばななちゃんは2話に引き続き話題のタネを蒔いてくれる感じ。
日常パートの細部に人となりが見える演技を(わざとらしく)挿入してくれるの楽しい。
黒板に書いてある座学の内容は今回も興味深くて、身体論と演劇論みたいなそれっぽいことが。ちなみに前回は世阿弥の離見の見みたいなことでした。
板書メモです
・意識/無意識
・自己/他者
非日常的空間ースタァの身体性ー演出空間からの...
知覚のプロセス リアリズム
視線 センソリー...
分析と解析に...
演技の純化
没個性→個性の獲得→無個性
まひる×香子、西條×双葉、新しい組み合わせ。キャラ回とかではなく、毎話全員に焦点を当ててくれるのがいいね。
香子だけでなく他の子のことも見てる双葉の「離見の見」をここで拾ってるなら見事。
「誇りのレヴュー」
片手剣1本同士、同じ武器ゆえに、その実力差、届かなさは明白にされる。
階段の上はるか高くにいる天堂真矢と、階段を下って地下競技場に向かう神楽ひかり。ひかりは下にいる華恋を迎えに行ったのだろうか。純那ちゃんに圧倒されてるくらいなのでひかりちゃん8位も妥当ではあるし、下に迎えに行けるほど上にいるわけじゃないから、華恋がよっぽど下にいるのだろうか。
トップスタァは1人。2人でスタァになるのと言い続ける華恋の願いは制度上不可能であり、それをわかってるからこそひかりは華恋のレヴュー参加を執拗に拒むのではなかろうか。
スタァライトは赤い星。ひかりがバールで砕いた後の赤いアラートとも重なる。赤は1話から象徴的に多用される色でもある。
白鳥と白い紙飛行機。
倉庫から出て、メッキの金面は主人公から剥がされる。
白い紙飛行機は、立ちはだかる女神像の前に止まらざるを得ない。
前半パートで踊るシーンは確かに毎回挿入されていて、魂の交感がなされる。それはお風呂・シャワーもまた同じか?
華恋しか見てないひかり、真矢しか見てないクロ子。
聳える金の鳥と、地に叩きつけられ羽を散らす白い鳥。
学園にもレヴューにも、意味を読ませるような象徴的モチーフが多用され、画面から目を離せない。
少女☆歌劇レヴュースタァライト第二話「運命の舞台」
1話がやばすぎて気負ってしまって書けなかったのであった。
ちょと考えたが考えたが、こんなもの読まされたら圧倒的完敗というか、書くこと何にもなくなっちゃった。本当に凄い。
前半パートの平面性や学校を舞台に見立てる読みや机の上に注目する点や詩的な語り。
意識高い系・星見純那と、密かにひかりにアプローチする大場なな。
露崎まひるは相変わらずの片思いっぷり。
天堂真矢×西篠クロディーヌはちょい深掘り、石動双葉×花柳香子は変わらず。
星・見・純・那の(メタ的な)名前の由来や生い立ちを掘り下げる「渇望のレヴュー」
努力は必ずしも報われない。星見さんの努力を積み重ねるが故に、その報われなさは悲しくなる。西條→天堂が結構効いてて、西條さんもまた努力は報われない類型。でも、天堂真矢になることが叶わない現実なら、そうではない「自分星」という、ありていに言えばナンバーワンでなくオンリーワンみたいな。
眼鏡、弓矢も彼女のメンタリティから与えられた記号なのかなと思い。
弓矢ってのは遠くに当てられるけど遠くからしか撃てないという飛び道具で。届かない星を狙い続ける
眼鏡はしばしば、視界を歪めてしまう象徴。弓だからしゃーないけど、ちょっとズルい戦い方する。眼鏡水道橋のセットはよくわからん。1話では星だったけど、あれも「星」見だったのかしらね。
華恋は2話前半、地下での戦いに困惑しつつも、ひかりとの約束を思い出し、ひかりの12年の進歩に驚き、星見さんに発破かけられて、その才覚をメキメキ顕す。
黒いマネキンに金の面、えも言われぬ抽象的さ意味不明さはすごく好みで、埋もれてなんかいられない、とマネキンに埋もれながら言ってるのは引っかかったし、受験戦争の渦中にいると埋もれ感はあるんだけど、体制に強いられることであり望んだ戦いではなく。一方で舞台の世界だって土俵こそ違えど競争はしてて、でもそこで足掻くことを選んだ純那ちゃんの戦いは続く。
華恋と刃を交えることで、華恋の熱さを知って、華恋と仲良くなって、いい方向に向いてくれてるのは良い。レヴューが終わって、暗がりに座り込んでる純那ちゃん、カーテンをめくるのは華恋だけど、出てきたのは純那ちゃん自ら。いい距離感ぽい。
後半のパートの方が好みだし面白いんだけど、ロボットの戦闘シーンと日常パートみたいな、アルドノア的なリンクがあるはず、あってほしい。
少女☆歌劇レヴュースタァライト第一話「舞台少女」
雰囲気だけでも今期トップクラスに面白いと思います。
メディアミックスやら2.5次元やらの売り方も新しそうな感じ。CM見た瞬間からかなり気になってた作品です。
幾原邦彦氏の系譜だと巷では騒がれているようですが知識がないのでわかりませぬ。
前半はラブライブっぽい。雑にまとめるなら、平凡な子が覚醒して1話はおしまい。随所にキャラが個性を出してて、無駄がないというか配慮が行き届いている印象。お昼ご飯のとことかほとんど喋らないのにキャラが立ってる。
ここからはいくつか気になったモチーフを拾っていきます。
まず王冠の髪飾り。これが溶鉱炉に落ちて溶けてしまい、代わりに得たのが戦闘衣装一式。王冠の髪飾りは頭飾りにリベイクされた。すごく大事な約束の証って感じだったのに1話にしてなくなっちゃうのは衝撃ではあった。 EDにもでてきてたのに。わかりやすく生まれ変わった象徴だとは思うが、「日々進化中!」から受けるイメージは一気に生まれ変わる、というよりはじわじわ変化していく感じではあって。謎多き一品。
次にキラキラの髪飾り。変身した神楽ひかりは髪飾り増量。個人的に気になったのは、星見純那に押されてる神楽ひかりは星型の舞台飾りに寄りかかってて。その飾りの五芒星の角が1つ欠けた形が、キラキラの髪飾りの歪んだ形にも見えるんですね。あと最後のシーンで神楽ひかりが乗ってる星も、五芒星が1つ欠けた形に見えるようにうまく隠れてる。それが神楽ひかりの現在の歪んだ心理を示しているのではないかと思われるのですよ。お話これからどうなるかわからないですけど。
ポジションゼロの場ミリ、ピンクのT字です。EDで桜の花びらが何度も描かれるので、それと関連してピンクなのかなってなんとなく。
東京タワー。愛城華恋の夢の中と、地下劇場に落ちていくときの2回、愛城華恋は落下させられています。神楽ひかりによって。で、地下劇場では東京タワー(らしきもの)の下で戦う。東京タワーの下で愛城華恋と神楽ひかりが向かい合う回想風シーンもありました。東京タワーの下での12年前の誓いを、地下劇場の東京タワーの元で果たす、みたいな感じなのでしょうか。あと、愛城華恋勝利からEDにかけて、赤い幕と螺旋と塔も意識的に描かれている様子。
キリン現時点では、高いところ括りでここの仲間。
「ワタシ再生産」。強い言葉だと思います。好き。ラッシャイの「輝き」みたいなキーフレーズでもあるように思われます。
スポットライト。最初はプロレスのリングのコーナーのような照らし方。愛城華恋、星見純那、神楽ひかりの3人が並んだ時は光の道の如く。汎用性の高い様々な魅せ方をしてくれそうです。
宝塚風の止め画。お昼ご飯の時と地下劇場での戦いの後とで、愛城華恋と星見純那の位置関係が入れ替わって同じポーズを取っています。反復。示唆的。他にも、神楽ひかり転入直後のダイジェストで、跳ぶ神楽ひかりとそれを見上げる愛城華恋ら3人のシーンが3回繰り返されます。
スリッパ。寮で別の部屋に行こうとする神楽ひかりを追う愛城華恋。わざわざスリッパ片っぽ脱がしたのはなんでやろ、っていう
お話のキーとしては、舞台少女としての覚悟、本気どみたいな要素があるのかなという感じ。
見ておきたいアニメ集
まだ見てないけどタイトルだけ知ってるやつを列挙しますそれだけ。
宮崎駿全般
新世紀エヴァンゲリオン(TV版)
なんでお前まだ見てないの
みとこ
押井守作品
ディズニー、ピクサー全般
見て損はないでしょう。海外にも目を向けよ。
オトナ帝国の逆襲
銀河鉄道999
ガンダムシリーズ全般
ザンボット3
マクロスシリーズ
広く面白さが知られている作品を見て審美眼を高める。楽しみ方の引き出しを増やす。
何回も見たいアニメ集
「革命機ヴァルヴレイヴ」ロボットと反復と異化
「アルドノア・ゼロ」カミシモ構図と反復、人間劇とロボット劇のシンクロ
「Re:CREATORS」創作論と反復と異化
「コンクリート・レボルティオ」
「ダーリン・イン・ザ・フランキス」とミーイズムと多様性の寛容
「涼宮ハルヒの憂鬱」と「中二病でも恋がしたい!」自分は特別じゃない
「甲鉄城のカバネリ」と我
この作品実はこんなに面白いとこあるんですよ、こんなに面白い見方あるんですよ、をまずは自分の中で理解し文章化する、そしてそれを共有する。
氷川竜介×岡田斗司夫
22:55~
「面白いっていう定義が曖昧なのに、全員が見ているから面白いに違いないという強迫観念みたいなものに結構支配されているんじゃないかな」
「せっかくこんなにいっぱいタイトルあるから、自分だけの面白さっていうのを見つけるように、能動的にもう少しなんかした方が」
「俺だけがこの面白さがわかるっていうことをちゃんと言語化して、大勢の人に伝えるっていうことをみんなでやる」
「僕の仕事は、なんでこういう仕事があるかっていったら、そういう少しでも、さっき言った、ステマと思われてもいいから(製作者に依頼されて当該作品の”いいところ”を並べる仕事に対し)、本当はこういう面白さがあるんだよっていう、言語化はなかなか、特に映画やアニメなんかは、見終わった後に、感動ってなかなか言葉にならないじゃないですか。感情がワーーっと渦巻いてるから、それを思考の方に整理してあげて、できればもう一回見たいなって思わせることが使命だと思ってる。」
「いろんなアニメの語り方っていうのをこの十数年間」
高校の担任は「君は埋もれゆく作品の中から君が面白いと思ったものを掬い(救い)出してあげて」みたいな言葉をくれて、今ちょっと繋がった感がある。
続・アニメガタリ
続き
アニメを語る切り口について。
アニメ評論家という肩書きの人は氷川竜介さんと藤津亮太さんのお二人かなと思う。
氷川さんに関してはこの記事かなと。
会社を辞めてアニメ研究家になった理由――氷川竜介の場合。【前編】 | フリーランス、40歳の壁 | ダイヤモンド・オンライン
フリーは「仕事」こそが最強の営業である――氷川竜介の場合。【後編】 | フリーランス、40歳の壁 | ダイヤモンド・オンライン
藤津さん「アニメをみない人、好きなアニメがある人、アニメというジャンルが好きな人と3つあって、ちょっとでもいいからアニメというジャンルを好きな人を増やしたい。」
「腑に落ちる」
「批判してもアニメって面白くならない」
藤津さんに関してはまだあまり詳しくはないです。要調査
一番下のやつはご本人の運営されているサイトなのだろうか。
4月5日(木) アニメを知らない人へのポプテピピック解説(by藤津亮太) - YouTube
聞いてみなくちゃわからない#001/アニメ評論家・藤津亮太 前編 - YouTube
聞いてみなくちゃわからない#001/アニメ評論家・藤津亮太 後編 - YouTube
続いて山本寛さん。
アニメが好きなだけでやっていて、業界をどうすればいいか、とか、学術的にどう定義すればいいか、とか、どう巷を啓蒙すべきか、とか、そんなのには全くの関心がないのだ。
山本寛 公式ブログ - アニメ評論家3 - Powered by LINE
自分としては、自分が好きな作品を深掘りしたい、表層の筋書きだけじゃなく作り込まれた部分を知りたい。かつ新しい好きな作品に出会いたい。そういう意味では、藤津さんの「好きなアニメがある人、アニメというジャンルが好きな人」の間くらい。
テクスト分析と呼ぶのが正しいのかわからないけど、映像に表象されているものが全て、作者の意図なんかどうでもいい、俺がこの映像にこういう意味解釈を見出したんだから(俺にとっては)こういう意味だ!という論点を持ちたい。ただしそれは流し見の思い込みで判断するじゃなくて、映像に表象されているものに準ずるべき、みたいな。
そういう意味では、作り手へのインタビューの類は、面白いけど興味ない、というか。
インクエッジ@WF7-42-07 (@02Curry) | Twitter
でも、仕事としてアニメを語るためには、過去の多くの名作を見てある程度の理解をしていなければならないだろうし、氾濫する膨大な現行の作品にも目を通すべきだし。
そこで、ちょっと飛躍するけどソシュールの「通時性」「共時性」みたいな考え方はできなくもなくて。氷川さん世代のように歴史には精通してなくても、アニメは語りうるかもしれないと気は軽くなった。
今、大学で映画の勉強を(一応)してて、映画の技術的なところも映画評論的なところにも触れられるかなとは思う。
藤津さんの「聞いて見なくちゃわからない」で主張してる「腑に落ちる」「批判してもアニメは面白くならない」は完全に同意だし納得。好きな作品だけどなんかよくわかんないとこあったな、っていうのもあるし、好きな作品を叩いてる人もいて。そういう時に自分が納得する(=腑に落ちる)ために、テクスト分析的な読み方をしてるのはすっごい面白いと思ったし、今こういう文章を書いてるのもそのせいだし。この人の信者と言っても過言ではないです。
インクエッジ@WF7-42-07 (@02Curry) | Twitter
自分の欲求と社会的な価値とかの間をうまくとるなら、志水義夫さんの「メディア文藝」という形が近いのかもしれない。
そもそも自分がクリエイターになりたいのか評論家になりたいのかもよくわからんし。アニメプロデューサー面白そうだなってのはなんか思ってる。
アニメガタリという題は「アニメガタリズ」からとったつもりだったんだけど全然既出なんですね。。。